変わった。みんなの目が変わった。ラグビーを見る目が変わった。
「こんな時代がやって来るとは…」正直な感想だ。エディーさんがすべてを変えてくれた。
子供達が「五郎丸ポーズ」をする。ニュース番組、ワイドショーが連日ラグビー日本代表を取り上げて放送している。とんでもない事が日本で起きている。ラグビーに携わる人間にとっては心地よい日々が続いている。
先日、試合帰りに立ち寄ったスーパーでラグビースタイルのサキノが、シルバーカーを押しているお婆ちゃんから声を掛けられた。「ラグビーやっているの?凄いねぇ。テレビで見たよ」。今やみんなが知っているスポーツになっている。
9月19日(日本時間20日)。強豪南アフリカを我らがエディージャパンが倒した。スコアは34−32。「スクラム組もうぜ!」矢野アナウンサーが叫ぶ、ジャパンのジャージを着た外国人女性が叫ぶ、マフィからのラストパスを受けたヘスケスがインゴール左隅に飛び込んだ瞬間、日本ラグビーの歴史が動いた。屈辱のスコア17-145は過去の笑い話になりそうな感じがした。
中3日で迎えたスコットランド戦は完敗(10−45)を喫した。
7月末、神戸製鋼コベルコスティラーズGM平尾誠二さんのインタビューに帯同した。ワールドカップについて開口一番「絶対に言えることは、強くなっているということ。エディーになってから、しっかりステップを踏んでいる。それは間違いない。かつてのワールドカップの中でも一番期待度の高い大会ですよ」と話した。続けて南アフリカ戦から中3日のスコットランド戦の日程について不安も指摘した。
「難しいのは初戦と2戦目のインターバルが短いことなんです。ブライトンとグロスターだったかな。移動で丸一日ですから、中2日。コンディションを考えたら前の日に練習はできませんよね。しっかりした練習ができるのは1日しかない。1戦目と2戦目をパッケージにした練習を日本にいる間にかなりやっておかないといけない。1戦目の反省に基づいてやるなんてできないですよ」。続けて「(初戦南アフリカと2戦目スコットランド)よりによってねぇ。本当に厳しいと思いますよ。確率から言えば、どう考えても2戦目が勝つ確率が高い」。前回、前々回のワールドカップでカーワンジャパンが行った2チーム制を批判しながらも「悩ましいところですな」と中3日の厳しさを語っていた。
第3戦のサモア戦を2日後に控えた夜。この頃になるとラグビーニュースが世間の最大の関心事になっていた。驚いたのは共同通信が、エディージャパンのサモア戦出場メンバーをニュース速報として配信した。「ピーーーーピーコピーコピーコ。共同通信ニュース速報。ラグビー日本代表がサモア戦のメンバーを発表しナンバーエイトにホラニ龍コリニアシ、マフィはリザーブに入りました。マフィはリザーブの記事を配信します」と耳に飛び込んできた。私は思わず「凄い。こんな時代になったんだ。サッカー日本代表でもこんな速報入らないですよねぇ」と先輩デスクと話した。この時は、スコットランド戦で負傷退場したマフィ選手がサモア戦に間に合うかが焦点だった。それに共同通信が応えたのだった。
サモア戦は快勝(26−5)。決勝トーナメント進出の夢が前日に断たれたもののモチベーションを落とさずアメリカも撃破(28−18)。Bプール3勝1敗、勝ち点12という歴史的な成績を残しながらもエディージャパンは予選リーグで敗退した。
「史上最大の番狂わせ」から始まった感動の物語。「最強の敗者」「今大会の最大の遺産」「最も不運にして、恐らく最も勇敢なチーム」と称賛されながら帰国した勇敢な桜戦士。4年間かけラグビーという名の花の芽をだしてくれたエディー・ジョーンズHCにありがとうと言いたい。この芽をラグビー関係者が大切に育て大きな花を咲かす事が最大の使命となった。
posted by MISAKI RUGBY.COM at 00:50|
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